2004年7月22日(木)16:02

バローゾ新欧州委員長を承認

ストラスブール(AP)

欧州委員会の新委員長に保守系のポルトガルのジョゼ・マヌエル・バローゾ前首相が選出された。ストラスブールの欧州議会は木曜日約60%の賛成で新委員長を承認した。「嬉しく、名誉なことであり、誇らしく思う」と48歳の新委員長は票決を受けて語った。「私は自らを橋渡し役と考えている。」バローゾ新委員長の就任は11月1日となる。新委員長は8月末までに新しい欧州委員会のメンバーと担当部門を決定する意向である。

私の目標は24名の委員のうち8名に女性をあてることである、とバローゾ新委員長は語った。ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は、すでに社会民主党のギュンター・フェアホイゲンを委員としてブリュッセルに送ることを決めている。フェアホイゲンはこれまで拡大担当の欧州委員を務めてきた。シュレーダー首相は、フェアホイゲン委員が新委員会において、経済問題を統括し、個々の担当部門に介入する権限を持つ特務委員に任命されるよう働きかけている。バローゾ新委員長はこの特務委員案を拒否する意向を明確に述べている。

「私は一人の特務委員ではなく、24名の特務委員を希望する」と新委員長は述べた上で、「所轄分野を決めるのは私だけだ」と強調した。将来の欧州委員会の構成について私はまだ決めていない。副委員長が経済関係の分野の調整をはかることは考えられる。「だが私は1級と2級の委員の考えには反対である」、と新委員長は語った。

欧州議会での票決では、バローゾ候補に賛成が413票、反対が251票、棄権が44票であった。有効投票数は708票であった。現在欧州議会の総議席数は732である。社会民主党は緑の党と同様、票決に先立ってバローゾ候補に反対票を投じる旨を表明していた。しかし、イギリスやスペインなど、欧州社会民主党の議員の中にはバローゾ候補に対する支持を表明したものも数名いた。ドイツの社会民主党は反対票を投じた。一方、リベラル系(自由党系)議員は欧州人民党(EVP)に同調し、バローゾ候補を選んだ。

社会民主党の議員団長を務めるドイツ選出のマルティーン・シュルツ議員は、「今日の時点では欧州社会民主党議員団はあなたに信任を与えることはできない」と述べた。バローゾ候補は強い欧州委員長になりうると我が議員団を納得させることはできなかった。また欧州社会民主党は、保守のバローゾ候補が環境保護や社会的団結に力を尽くすとは信じられない、と語った。

しかし、バローゾ候補に対する欧州社会民主党と緑の党の最大の批判は、イラク危機での対応である。ポルトガル首相としてバローゾは明確にアメリカ支持の立場をとった。今日判明している事実に照らしてイラク戦争を支持したのは誤りだった可能性があるとも発言していない、とシュルツ議員団長は強調した。緑の党のダーニエル・コーンベンディート議員団長も同様の反対意見を述べた。

バローゾ新委員長は、イラク危機はEUがいまだ共通の外交政策を持っていないことを示したと述べた。「だがこの問題で誰が正しかったを論争するのは無益なことである」。その代わりにEUは国連安全保障理事会で意見を一つにするよう努めねばならない。この目標を達成するために、私は新しいEU外相とも密接に協力するつもりだ。またイラクが安定した国になることはEUの利益にかなう、と語った。

あわせてバローゾ新委員長は、私は「強くて独立した」欧州委員会を望むと強調した。私の目標は繁栄、連帯、安全という言葉にまとめられる。経済は社会的安全の基盤を成す。これにあわせて、ユーロ安定協約も経済成長という目標に即して運用し、柔軟に解釈する必要がある、と語った。

原題:Barroso neuer Praesident der EU-Kommission




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